異なる世界に、二人の魔術士がいました。
魔術士一と魔術師二――じゃあわかりにくいから、仮に『剥製屋』と『本屋』にしましょう。
『剥製屋』は強大な力と歪んだ心を持つ魔術士でした。
育った世界で他の魔術士を次々と喰らい、暴虐の限りを尽くした彼は次の獲物として、異なる世界に住む魔術士である『本屋』に目をつけました。
『本屋』を喰らえば更なる力を手に入れられると思ったからです。
『剥製屋』はまず手始めに、様々な世界に遣わされていた『本屋』の手下をさらい、『本屋』の目の届かぬ場所へ閉じ込めました。
まず、女を二人と、男が一人。『剥製屋』は彼女らを苦しめ、『本屋』の情報を引き出そうとしました。
しかし誰も『本屋』の弱点を知らなかったので、『剥製屋』は拷問を諦めて、三人をただの玩具として使うことにしました。
興味をなくした男を壊すと、女たちが――特に片方がより深く――嘆き悲しんだので、『剥製屋』はとても喜びました。
『剥製屋』はもっと『本屋』に親しい手下を捕らえようと試みましたが、なかなか機会が訪れません。
一方で、『本屋』はいなくなった三人の代わりとして、三人とそっくり同じ手下を作りました。
記憶だってほぼ一緒の、『前の自分がいなくなる直前までを覚えている』手下たちです。
彼らは主である『本屋』の命に従い、またさまざまな世界へと旅立ちました。
『剥製屋』は『本屋』を喰らうための決定打をなかなか得られない腹いせに、以前壊した男をもう一度捕らえることにしました。
これがあると、お気に入りの玩具がとても良い声で啼くからです。
『剥製屋』はもう一度男を苦しめ、玩具たちに見せて遊びました。
そしてある日、男が『剥製屋』の城から逃げ出しました。
壊される前の自分が密かに残していた脱出の手引を見つけて、手足をもぎ取られてしまう前に実行に移したのです。
女たちを置いて逃げ出し、その結果荒野で野垂れ死んだ男を、『剥製屋』は嗤いました。
しかし、男の逃亡は確かな意味を成していました。彼が息絶えた場所は、その主である『本屋』の目の届くところだったのです。
手下たちが消えたわけを、男の死を介して知った『本屋』は、『剥製屋』のもとに刺客を差し向けました。
『本屋』が従える手下たちの中で、最も戦いに長けた者を。
そして――