チェスタミル 反射的に攻撃してしまっていた。武器庫と繋いだ空間のひずみから引き抜いた刀で一閃、身を引いて第二波を纏めて両断。第二研究室の扉を開けた途端に溢れ出てきた触手は、その根本の塊を斬り捨てるとおとなしくなった。
粘液と緑の返り血で服を汚され、靴を新調することを考えながら血溜まりを踏んで奥へ向かうと、白衣を着た男が突っ立っていた。その背丈は俺を超えるほどもあるが体つきは細い。
「ロッシェ、タイミング悪すぎ……」
「知るかよ心臓止まるかと思ったぞ何なんだあれ!」
「喚んだばかりでこれから色々教えるところだったんだ、まだ僕以外みんな飯だと思ってて、あああー」
チェスは魔物の残骸のそばにへたりこんで頭を掻きむしった。元からどこか困っているように見える顔が、いつもより更に凹んで見える。何なんだこれ、俺のせいなのか。悪いの俺なのか。
「なんか、すまん……でもそういう実験すんなら鍵かけといてくれ……」
「そうだね、僕も悪かったよ……ごめんよ×ァ×ヅ×××ちゃん……」
俺が殺してしまった生物の名らしきものを呼びながら、その死体を優しく撫でる。その上手く聞き取ることすらできない名前の生物、だいたい意味がわからないぐらい気持ち悪いからそろそろやめてくれないだろうか。とは思うものの、素人が口を挟むことじゃあないので黙っておく。
「図書室の警備に使えないかと思って喚んでみたのに」
「もっとグロくないやつにしてくれ」
やっぱり黙っていられなかった。触手はなんか存在が許せないので勘弁してください。気のいい奴ではあるが、この一点でのみ俺らは相容れない。