アカシア書房

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#03 No.15 ゾルトゥ

No.15 『道具』の記者 ゾルトゥ
ゾルトゥ こいつの部屋はいつも様々な道具で溢れ返っている。
 その内訳は、家庭向けの便利グッズから、ニッチな用途の器具まで様々。担当する記事を書くための資料、という建前で調達したものが多いようだが、本音は間違いなく異なっている。紙に穴を開ける器具を七種類も並べなくたって話は書けるだろう。
「昨日これを見つけたんだけど」
 物品に圧迫された狭苦しい部屋の中央、小さなテーブルで薄い冊子を広げて見せられた。写真が鮮明に印刷された、とある機械の販売促進用パンフレットだ。
 下部に並ぶ数字の桁は多い。店で食う飯換算で千食ぶんぐらいの価格だ。お前そんな金持ってるのか。無いだろ。こないだ腹につけて腹筋鍛えるやつ買ったって言ってただろ。
「データを入力して石をセットするだけで簡単に携帯用墓石の表面が彫れるんだ!」
 用途を語る顔はやけに楽しそうで眩しく、若さを感じる。銀色の髪がいつもより強く灯りを照り返しているように見えた。立体映像の眼鏡の下で眼が爛々と輝いている。
「プリセットのデータが多彩で飾り枠だって思いのまま、かなり長い名前や文章にだって対応してる。細い書体でも精密に掘ることができて、自分でデータを用意できるならオリジナルのイラストや直筆の字を取り込んだものも簡単に彫」
「そうか、わかった。ちゃんと止めてもらいに呼んだんだな偉いぞ、使い道ないからやめとけ」
 たしなめながらわしゃわしゃと頭を撫でてやると、ゾルはおとなしくカタログを閉じて俯き、「うん」とだけ答えた。