アカシア書房

アカシアファミリアス

#02 No.16 クローチェルト

No.16 第二図書室管理者 クローチェルト
クローチェルト 新人にいきなりこの業務は荷が重いのではないか、と思っていたが杞憂に終わりそうだ。
 できたばかりの第二図書室の本棚は、新入りの見事な働きにより着実に埋まりつつあった。運び込んだ本はかなりの量があったが、この手際の良さならそう遠くないうちに全てが本棚に並ぶだろう。
 心配なのは進捗よりも嗜好だ。遠巻きに見ていればこの男、手鏡を見ては嬉しそうに溜息をつく動作を頻繁に挟む。図書室の入口に俺が立っていることにも気付かず、長い前髪をかきあげながらまた一回。首の角度を変えて微笑み、さらにもう一回。
「そんなに鏡見て飽きねえの?」
 良い悪いの話ではなく、純粋に何が面白いのか気になって声をかけた。ようやく俺の存在に気付いたらしいクロは、手にしていた本を取り落としかけつつすんでのところでキャッチする。そして安堵の息をついてから俺を見据えた。
「全然飽きない。俺には皆が髪型も直さずに働いてられることのほうが不思議だよ」
「そういうもんなのか……まあ鏡見てても仕事早いしいいか、本好きなんだな」
「集めることとか、集まったものとかが好きなだけさ。このコレクションは俺を引き立てる最高の素材になるはずだ!」
 クロは高らかに答え、爛々と瞳を輝かせてみせる。どこからその自信が湧いてくるのかが全く分からないが、やる気があるのはとにかく良いことだ。
 でもその本お前のじゃなくて組織のもんだからな。お前がよその奴に貸す手続することになるんだからな。いざとなったら渋らずにちゃんと渡すんだぞ。