ものを食べる幸せも、ものを食べられない不幸せも、わたしにはよくわからない。
だから星の川のほとりに、食べ物? が落ちていた時、何これって三回も言っちゃった。
本人に聞いたら、ピザという食べ物なんだって教えてくれた。窯で焼かれて生まれたんだって。
料理に星が宿るなんて、珍しいこともあるんだね。
このままじゃ消えるに消えられないって言うものだから、わたしが食べてあげることにしたの。
両手で持って、顔に近づけて、すぅー……って。顔のさきっぽで触れてみる。
ピザだったものは星に戻って、川原に落っこちた。
「あっ!」
そういえばわたし、口を開けるのも口の中に入れるのも忘れてた。
食べるってこうじゃないのよね?
「助かりましたです、あなたは命の恩人なのです!」
側溝の蓋にハマっていた何かを引っぱり出してみると、それはぬいぐるみのような顔がついた巨大な芋虫? だった。ふかふかしている。
なんでも彼は地球外生命体であり、これから故郷に帰るところらしい。
「このお礼は必ずするです! ありがとーですよー!」
そう告げる彼を見送ったのが三か月前。今日届いた『お礼の品』は、瓶詰触手の詰め合わせとやらだった。
まず食用触手がたくさん。調理済みで、普通にタコっぽくて美味い。
観賞用触手(3色)はイソギンチャクのようで愛嬌がある。
防犯触手は窓際に置いておくことにした。
残りはエロ触手とホラー触手。……これ開けなくてもいい? いいよな?